海外現地社員の企業単独研修

1.外国人社員の研修
1.外国人研修の目的
多くの日本企業が海外進出を果たしグローバル採用が実施されるに従い、現地で採用した外国人社員の研修を日本で実施する企業が増えています。以前は外国人研修生として熟練技術の習得を目指すことが多かったのですが、最近では日本的なビジネス習慣や社内文化の定着などに焦点を絞った、ホワイトカラーに対する研修が多く実施されています。
2.コンプライアンス
外国人研修の受け入れ方法により、入管法、労働法、税法などの様々な分野におけるコンプライアンスが要求されます。特にホワイトカラーの研修の場合には、従業員としての日本滞在なのか、それとも単なる研修目的での一時的な日本滞在なのかにより、受入れ企業の法的な義務なども大きく異なります。しかし、これらの境界は非常にあいまいであり、グレーな部分が多いのも事実です。ホワイトカラーの研修を実施する場合には、研修の目的や受け入れ態勢を明確にすることが必要です。
3.入管法の改正
2009年に入管法が改正されたことにより、コンプライアンス上の問題が多かった従来の外国人研修制度は廃止されました。代わりに「技能実習ビザ」が創設され、受入れ企業には技能実習生との雇用契約の締結など、労働法の順守が厳しく求められるようになりました。そのため、他の就労ビザとの違いが曖昧となり、特にホワイトカラーを対象とした研修では「人文知識・国際業務」、「技術」、「企業内転勤」、「研修」など、多くの選択肢が考えられるようになりました。
4.企業単独での研修
AOTS(財団法人海外技術者研修協会)が事業仕分の対象となり、多くの企業が外国人研修を単独で実施する傾向がみられるようになっています。企業が単独で実施する場合にはすべて自己責任となるため、各分野の情報を整理し、コンプライアンスに注意しながら研修を実施する必要があります。
2.現地社員のインバウンド研修
1.現地社員のインバウンド研修
1.インバウンド研修の目的
多くの日本企業が海外進出を果たしグローバル採用が実施されるに従い、現地採用社員の研修を日本で実施する企業が増えています。以前は外国人研修生として熟練技術の習得を目指すことが多かったのですが、最近では日本的なビジネス習慣や社内文化の定着などに焦点を絞った、ホワイトカラーに対する研修が多く実施されています。
2.コンプライアンスの順守
インバウンド研修の実施方法により、入管法、労働法、税法などの様々な分野におけるコンプライアンスが要求されます。特に技能実習以外のホワイトカラー人材に対する研修の場合には、従業員としての日本滞在なのか、それとも単なる研修目的での一時的な日本滞在なのかにより、受入れ企業の法的な義務なども大きく異なります。しかし、これらの境界は非常にあいまいであり、グレーな部分が多いのも事実です。インバウンド研修を実施する場合には、研修の目的や受け入れ態勢を明確にすることが必要です。
3.入管法の複雑化
度重なる入管法の改正により、インバウンド研修では「人文知識・国際業務」、「技術」、「企業内転勤」、「研修」、「技能実習」など、多くの在留資格の選択肢が考えられ、他の就労ビザとの違いが曖昧となりつつあります。しかし、企業が単独で研修を実施する場合にはすべて自己責任となるため、各分野の情報を整理し、コンプライアンスに注意しながらスキームを構築する必要があります。
2.インバウンド研修の受け入れ方法
1.外国人研修生として受入れ
在留資格「研修」で受け入れた場合には、1年までの研修が可能となります。ただし、研修生が実務に従事したりする実務研修は行えず、一般的に“座学”と呼ばれる講義を聴いたり社内見学などを行う研修にとどめられます。また、原則として給与の支払いなどはすることができません。
2.技能実習生として受入れ
在留資格「技能実習」で受け入れた場合には、最長で3年までの研修が可能で生産活動に従事する実務研修を行うことも可能です。ただし、2~3年目に移行できる職種が限定されており、さらに初年度から労働者としての雇用契約などが明確に義務化されています。
高度人材を対象とした企業研修などでは直接雇用などのほうがコストが低くなることもあり、主に利用されるのは単純作業などの就労ビザが取得できない業種で研修を行う場合となります。
3.出向社員・転勤者として受入れ
在留資格「企業内転勤」での受入れの場合には、学歴の要件などはありません。ただし、日本への出向前に最低出向元で1年間の雇用期間が必要とされています。さらに、日本で行う業務は「人文知識・国際業務」または「技術」に該当する業務に限定されます。しかし、給与の支払いは海外でも日本でもよく、複雑な給与形態の場合などによく利用されます。
4.直接雇用での受入れ
在留資格「人文知識・国際業務」や「技術」などでの受入れでは、学歴や職歴の要件が必要となります。さらに日本で行う研修内容が入管法に定められた基準を満たしているかどうかが問題となります。その他には、日本の受入れ企業での直接雇用となるため、研修内容にもよりますが、給与や保険手続などの面で予想外の手間とコストがかかる可能性があります。
5.短期ビザでの研修
在留資格「短期滞在」で受入れる場合には、滞在期間が最長でも90日間に限定され、生産活動に従事する実務研修は実施することができません。また、短期ビザは管轄が外務省となるため、不許可の場合でも理由が公表されません。また、特定の国ではビザ発給が著しく困難なこともあり、計画的にスケジュールを進める企業での研修にはあまり向いていません。
3.インバウンド研修と労務管理
1.外国語への対応
研修目的での受入れの場合であっても日本の労働法などが適用される場合などには、諸手続きにおいて相手が理解できる言語での対応が求められます。研修目的で来日する現地社員は、日本語が不慣れなケースが多く、後に「言った言わない」、「理解していない」、などのトラブルの元となることがあります。そのため、就業規則や雇用契約などは可能な限り外国語で作成する必要があります。
2.保険制度への加入
日本の保険制度へ加入するかどうかは、どのような形態で現地社員を受入れるかにより大きく異なります。一般的には直接雇用であれば雇用保険、社会保険への加入が求められ、現在では在留手続きの際に入国管理局で確認されることもあります。また、ケースによりますが海外旅行保険などの一時的なもので代用することもあります。
3.賃金額と支払方法
現地社員を研修目的で受け入れる場合には、賃金額や支払方法が非常に重要となります。これにより取得可能なビザが異なるため、最初に決定した上で研修計画を組み立てていく必要があります。仮に入国後に賃金の支払い内容を著しく変更するようなケースでは、受入企業の不正行為とみなされることもあり、後々のビザ申請などに大きな影響を与えることも考えられます。
4.メンタルケア
日本に来たばかりの現地社員は慣れない文化や職場環境などにより、とかくストレスをためがちです。特に言葉の問題などがあるため自分の意見を自由にいうことができず、社内の些細な出来事からトラブルへと発展することも珍しくありません。そのため、受入れ企業では人事・総務の方がなどが定期的にミーティングを開いたり、悩み事を聞き出すなどのケアが必要となります。
4.インバウンド研修と税務
1.源泉徴収
日本に滞在する現地社員が居住者か非居住者かにより、源泉徴収の方法が異なります。さらに源泉徴収額を算出する際に課税対象となる所得の範囲についても、同様に異なります。日本で行う研修などに参加する現地社員は、多くの場合居住者(非永住者)に該当するケースが多く、この場合には①国内源泉所得のすべて、②国外源泉所得のうち日本国内で支払われたもの、③国外源泉所得のうち日本国内に送金されたもの、が原則として課税対象となります。
2.住民税
日本に滞在する現地社員が居住者か非居住者かにより、住民税の支払い義務も異なります。居住者の場合には、その年の1月1日時点ですでに日本に住んでいて住所がある者、または居住して1年未満でも住所があり1年以上継続して居住することが明確な場合には、原則として課税対象となります。
住民税の納税義務がある場合で、12月末までに出国する場合には、未払分の税額を納めることになります。
3.扶養控除
海外に居住している親族などが、日本で働く外国人社員から生活費などの送金を受けている場合には、所得税や住民税の税額算出の際に扶養親族とするこが可能です。ただし、生活費を送金している証明が必要となることが多く、本国へ送金した際の国外送金依頼書などを保存しておく必要があります。また、ケースによっては就労ビザの申請にも影響が出ることがあるので、十分に注意してください。
4.経済的利益と課税処理
現地社員の場合、一定の範囲内であれば、雇用企業等が与えた経済的利益を非課税の扱いとすることができます。具体的にはホームリーブの渡航費用、家族の来日費用、税金や社会保障費の企業負担、さらに家賃や水道光熱費などの企業負担などが考えられます。
ただし、非課税とするためにはそれぞれについて詳細な規定があるため、慎重に行う必要があります。
3.外国人社員研修と労務管理
1.外国語への対応
研修目的での受入れの場合であっても日本の労働法などが適用される場合などには、諸手続きにおいて相手が理解できる言語での対応が求められます。研修目的で来日する外国人社員では、日本語が不慣れなケースが多く、後に「言った言わない」、「理解していない」、などのトラブルの元となることがあります。そのため、就業規則や雇用契約などは可能な限り外国語で作成する必要があります。
2.保険制度への加入
日本の保険制度へ加入するかどうかは、どのような形態で外国人社員を受入れるかにより大きく異なります。一般的には直接雇用であれば雇用保険、社会保険への加入が求められ、現在ではビザ申請の際に入国管理局で確認されることもあります。
3.賃金額と支払方法
外国人社員を研修目的で受け入れる場合には、賃金額や支払方法が非常に重要となります。これにより取得可能なビザなどが異なるため、最後に決定しようとすると研修計画を最初から組み立てる事態にもなりかねません。また、入国後に著しく内容を変更するようなケースでは受入企業の不正行為とみなされることもあり、後々のビザ申請などに大きな影響を与えることも考えられます。
4.メンタルケア
日本に来たばかりの外国人社員は慣れない文化や職場環境などにより、とかくストレスをためがちです。特に言葉の問題などがあるため自分の意見を自由にいうことができず、社内の些細な出来事からトラブルへと発展することも珍しくありません。そのため、受入れ企業では人事・総務の方がなどが定期的にミーティングを開いたり、悩み事を聞き出すなどのケアが必要となります。
4.外国人研修と税務
1.源泉徴収
日本に滞在する外国人が居住者か非居住者かにより、源泉徴収の方法が異なります。さらに源泉徴収額を算出する際に課税対象となる所得の範囲についても、同様に異なります。日本で行う研修などに参加する外国人社員は、多くの場合居住者(非永住者)に該当するケースが多く、この場合には①国内源泉所得のすべて、②国外源泉所得のうち日本国内で支払われたもの、③国外源泉所得のうち日本国内に送金されたもの、が原則として課税対象となります。
2.住民税
日本に滞在する外国人が居住者か非居住者かにより、住民税も支払い義務が異なります。居住者の場合には、その年の1月1日時点ですでに日本に住んでいて住所がある者、または居住して1年未満でも住所があり1年以上継続して居住することが明確な場合には、原則として課税対象となります。
住民税の納税義務がある場合で、12月末までに出国する場合には、未払分の税額を納めることになります。
3.扶養控除
母国に居住している親族などが、日本で働く外国人社員から生活費などの送金を受けている場合には、所得税や住民税の税額算出の際に扶養親族とするこが可能です。ただし、生活費を送金している証明が必要となることが多く、本国へ送金した際の国外送金依頼書などを保存しておく必要があります。また、ケースによっては就労ビザの申請にも影響が出ることがあるので、十分に注意してください。
4.経済的利益と課税処理
外国人社員の場合、一定の範囲内であれば、雇用企業等が与えた経済的利益を非課税の扱いとすることができます。具体的にはホームリーブの渡航費用、家族の来日費用、税金や社会保障費の企業負担、さらに家賃や水道光熱費などの企業負担などが考えられます。
ただし、非課税とするためにはそれぞれについて詳細な規定があるため、慎重に行う必要があります。
5.外国人社員研修のスキーム構築よくあるQ&A
海外進出を果たし、初めて現地社員の研修を日本で行うことになりました。しかし、いくつもの選択肢があり、どれを選んだらいいのかわかりません
どのような方法によりインバウンド研修を実施するかは、研修の目的、方針、受入れ状況などにより全く異なります。まずは日本国内で研修を行う目的、期間などを明確にし、そこからどのような受け入れ方法が可能かを検討したほうがよいでしょう。
現地社員のインバウンド研修を行うに当たり、コンプライアンスの重視を第一に考えています。どのような点に注意すればよいでしょうか?
現地社員のインバウンド研修を実行するには、入管法、労働法、税法など、多くの分野にわたりコンプライアンスが求められます。それぞれの分野を掘り下げて考えることはもちろん必要ですが、他分野との連携を意識しながら総合的に判断することが非常に重要となります。
今まではAOTSに任せていましたが、今後は自社が中心となって研修制度を進めることになりました。しかし、いくつもの選択肢があり、どれを選んだらいいのかわかりません
どのような方法により外国人研修を実施するかは、研修の目的、方針、受入れ状況などにより全く異なります。まずは外国人研修を行う目的、期間などを明確にし、そこからどのような受け入れ方法が可能かを検討したほうがよいでしょう。
外国人研修を実行するには、入管法、労働法、税法など、多くの分野にわたりコンプライアンスが求められます。それぞれの分野を掘り下げて考えることはもちろん必要ですが、他分野との連携を意識しながら総合的に判断することが非常に重要となります。
6.ACROSEEDの「外国人社員研修のスキーム構築コンサルティング」
1.サービス内容
外国人雇用を熟知した、行政書士、社会保険労務士、税理士が貴社に最適な外国人社員研修のスキームを構築します。
1.ヒアリング | 貴社の研修ニーズ(就労条件、給与の支払い方法、研修内容、人数、期間など)を伺い、現状を把握します。 |
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2.コンプライアンス | ご提案の作成においては、コンプライアンスを最優先に考えます |
3.検討内容 | ①外国人社員の給与額・支払方法 ②住宅 ③国際税務 ④外国人社員の労務管理・保険手続 ⑤在留資格制度 上記について法律的な観点から総合的に検討します。 |
4.ご提案内容 | ・外国人社員研修を実施するにあたり、貴社に最適と思われるスキームをご提案します。 ・各分野の専門家によるコンプライアンスを重視し、メリット・デメリットを明確にした総合的なご提案を行ないます。 (1)行政書士(ビザ申請) (2)社会保険労務士(外国人社員の労務管理) (3)税理士(国際税務) |
2.サービスの料金(税別)
*ACROSEEDのサービスは全国対応です
*複数名の申請はお値引きさせていただきます。詳しくはお気軽にご連絡ください。
研修生として受け入れ | 150,000円 |
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技能実習生として受け入れ | ・技能実習計画認定申請 |
50,000円 150,000円 |
企業内転勤で受け入れ | 100,000円 | |
短期査証での受け入れ | 50,000円 |
1986年の開業以来、外国人のビザ申請を中心に外国人を雇用する企業様のコンサルティングに40年近く携わっております。
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